馬洗川にそいて




馬洗川にそいて

山間の細き道に春の日
誘わるごとく入りゆく
辛夷咲き桜も咲きぬ一時に
土壁の土蔵に木の橋や
社に菜の花睦まじく道祖神
ここに一村古りぬ
流れは一すじ馬洗川
伝説のここに残りぬ
この川を伝いて黄鶺鴒飛び
板橋一つあわれかな
その橋渡り山陰に
隠されしごと田のありしも
春の雲浮かびしばしとどまる
春の日誘われし細き道
山間深く隠されし里
馥郁と梅は香りたるかな
ここに一村古りぬ
なつかしき昔の村や
ここに人のなごまむ
馬頭観世音の碑や
昔の道もここに通じぬ
一すじ山間の道歩みて
遠き日偲ぶ春の日
我が心はなごみけるかな
春風はこの道を吹きぬけ
阿武隈の山々越えて吹きわたる

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春の雲峠に浮かび我が越えむ

川俣や春の安達太良映えて暮る


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