春の日に誘われて

穏やかな春の日
誘わるるごとく
見知らぬ道や
家居少なくここな
地蔵一つひそか
水仙の挿されありしも
この道行く人まれに
春日さし鶯鳴き
ただ道に日がな花の影かな


春日さし同じ石かな山の里

山の道木の根元にも春日かな

碑の古りていたわるごとく春日さす

旅路行く日永の道に鴉かな

バス停に小塚や春の山の村

道細し一村古りてコブシかな

菜の花に村の社や道祖神

山の家や日永の道をなお歩む

春の星二本松に来て同じ宿

朝桜染め上げにけり霞城

朝桜白壁に映え城の門

大いなる春の山影安達太良や坂を越えつつ我は来たるも

一時にさわに桜の散りにけり若き命の散るも美し

巻淵の激ち渦巻き朝に散る桜の花びらなお散りぬかも

花盛り二本松城

天守台仰ぎてたかく

残雪の安達太良いや高く

さえづる鳥の音高し

朝桜染めあげにけり

一時に朝風に散る桜や

若き命の散るも美し

みちのくの鼎の城にあれ

遠く春の嶺々望み

二本松十万石なれ

栄し城は花盛りかな

安達太良にこの城仰ぎ

志高きにあれや

その心根の直くあれかし

力強き樹々の芽吹きよ

若人の夢はここに結ばむ

みちのくの真と美とここに結ばむ

残雪の安達太良光りぬ

安達太良は遠く川俣までも

映えて大きく美しく暮れぬ

馬洗川にそいてへ

二本松まで(春の阿武隈をたずねる 小林勇一