黒島の一日(8月1日)



8月1日 黒島へ

黒島は西表島から見ると近く見えたのだが黒島から見ると二倍以上遠く見えた。どういうわけかわからない。何らかの錯覚を生みだしている。

黒島ゆ西表島我が見れば遠きに見えてへだつ海かな

海が生みだした錯覚というのはわからないがある。島が遠ざかったり近ずいたりする。幻の島も浮かんだりする。海が生み出す幻想がある。ここのも船を監視する烽火台があった。役所の跡でもあった。

夏の朝烽火台高く海の風

黒島には牛の数が島民より多い牛の島である。子牛を神戸に売って結構裕福なしまだという。確かに一軒の店があったが飲み物を置いているくらいで何もない、そこのおばあさんは留守で向かいの民宿のおばさんが金を受け取った。
ここでは買い物すらできない、石垣島に近いから買い物は石垣島に行くのか往復2千円の船の料金は高い。定期のようなものを使っているだろうがそれにしても不便である。一軒あるレストランは満員だった。

甲高くアジサシ鳴きて夏の朝砂浜暑く
潮溜りに見慣れぬ魚が泳いでいる
それも誰も注意するものもなく
浜は人一人いない黒島の朝だ
新しサンゴが芽をつけている
一艘の釣りのボートが浮かぶ
魚はとれたのかノコギリダイをとるとか
向かいに見えるのは離島(パナリ)
二つの島は離れたが離れていない
我は木陰に休み見ている

夏の朝新しいサンゴ着きにけり


サンゴは古いサンゴにつき山のように拡大してゆく、サンゴというのはわかりにくい、生き物がなぜ岩となってゆくのか、サンゴの死骸で島が作られる不思議である。石油というのも何かの生き物の死骸だといものもいるし太古の木の死骸が石炭になっているからそれとにたものなのか自然のスケールは大きいのだ。

黒島に何しに行ったのか珊瑚の屑の山をかき分けたら美しい貝がでてきた。これは貴重だと思った。例の貝を売っている老人に聞いたら図鑑を調べてもわからなかった。でも黒島はあまり人が行かないからとれるとも言った。

黒島の浜の木陰に我が休み美しき貝拾い帰りぬ


それから名前はわからぬが文様の美しい蝶が乱舞していた。

黒島の砂浜暑く人まれに・・・蝶を一日追い暮る

石垣島に帰ったら与那国島へ行くフェリーを見た。聞いたら一週間に一回出る船でこれがゲロ船といわれものすごくゆれるからそういわれるそうだ。外洋に出るには船が小さすぎるとのこと、しかしそんなふうにしてゆく与那国島も日本であり日本の辺境になる島である。日本の島ということを確認するだけでも価値がある。ここの宿は長期に滞在するに向いているから長くいるかもしれない、西表島のようなキャンプでは辛いからつづかないがここは楽である。